数式処理ソフトMaximaで相対性理論を学ぼう

 Maximaはオープンソース(LinuxやGimpのように大勢の人が開発に携わっている)の 強力な数式処理ソフトで、簡単に入手することができる(講談社ブルーバックス 竹内薫著「はじめての数式処理ソフト」1200円を買えばCD−ROMが添付 されているので無償で入手できる)。
 (特殊)相対性理論は代数的に美しい構造を持っているのでMaximaはうってつけである。

 それではまずローレンツ変換の式を入力してみよう。
gamma : 1/sqrt(1-v^2/c^2);
xd : gamma*(x-v*t);
yd : y;
zd : z;
td : gamma*(t-v*x/c^2);
と入力(dはダッシュのつもり。:は代入をすることを意味する)すると、それぞれ

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と表示される。

x2+y2+z2-c2t2
は、ローレンツ変換で変わらない値(不変量)であることを確かめる。

factor(xd^2+yd^2+zd^2-c^2*td^2);
と入力する(factorは因数分解する命令)と

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と答えが計算されて返ってくる。

 次に速度の変換式を入力してみよう。
beta : 1/(1-v*ux/c^2);
uxd : beta*(ux-v);
uyd : uy*beta/gamma;
uzd : uz*beta/gamma;
(Maximaの出力は省略)

 運動量のy成分はどのような変換を受けるであろうか。
factor(mz*uyd/sqrt(1-(uxd^2+uyd^2+uzd^2)/c^2));
と入力すると

f7.png
と返ってくる。符号に注意して約分すると、これは

f8.png
に等しい。一般に(Px,Py,Pz,E/c)という運動量とエネルギーの組み合わせはローレンツ変換の際、 (x,y,z,ct)と同様の規則に従って変換する。これを4元量と言い、特にこの場合は4元運動量と呼ばれる。

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